アナログ信号とデジタル信号とは
アナログ信号とデジタル信号とは
今回はアナログ信号とデジタル信号について説明します。
アナログ信号とは連続的に変化する信号のことで,デジタル信号とは離散的(飛び飛び)な値を取る信号のことです。
アナログ信号とデジタル信号の波形例を下図に示します。
アナログ信号
アナログ信号の大きな特徴に『連続性を持つ』ことがあげられます。わかりやすく言い換えると,
中間の値が無限に存在し,そして,グラフにすると一本の滑らかな線でつながる信号です。
実は私たちの身の回りにはアナログ信号であふれています。
デジタル信号
デジタル信号の大きな特徴に連続性を持たないことがあげられます。専門的な言い方をすると離散的
(飛び飛び)ともいいます。わかりやすく言い換えると,中間の値が存在せず,
グラフにすると信号が連続的につながっていない信号です。そして重要な特徴として0と1しか存在していません。
なぜデジタル信号が必要?
私たちの身の回りの信号はほとんどがアナログ信号です。アナログ信号とデジタル信号との間には
インターフェースとして特別な回路が必要です。では,なぜデジタル信号が必要になるのでしょうか?
それは,デジタル信号を扱う回路(以下デジタル回路)は,アナログ信号を扱う回路
(以下アナログ回路)に比べて,小型化や低消費電力化を実現できるからです。また,デジタル信号は
劣化に強いというメリットもあります。アナログ信号は前述のように中間の値を持つ信号です。
アナログ信号を作る素子の微妙な変化(ばらつき)で信号がくずれる恐れがあります。
素子の微妙な変化による影響を抑えるためには,素子のサイズをある程度大きくする必要があります。
これは素子を小さくすることができないことを意味します。また,中間電圧を出し続けるためには常に
電流を流し続ける必要があるうえ,電流が大きくなるといったトレードオフも顕在化します。
デジタル信号は,最大値か最小値の二値しか存在せず,素子のONかOFFで作り出せます。そのため
素子に多少のばらつきがあったとしても大きな問題になりません。これは素子を小型化することが
できること意味します。さらに,アナログ信号ではないため電流を流し続ける必要がなく,
低消費電流化が可能になります。
信号の劣化についても話をしましょう。アナログ信号は前述のように中間の値を持つ信号です。
これは,1と0の間に0.3や0.75といった小数点以下の数字が存在することを意味しています。
信号を保存する場合や,通信する場合を考えてください。たとえば保存する場合,0.75を
保存したつもりが数年後に0.7になっていたら,もともとのデータは保存されたと言えるでしょうか?
たとえば通信する場合,0.3を送ったつもりが0.4で届いたら,もともとのデータは送られたと
言えるでしょうか?アナログ信号は劣化するという弱みがあります。
一方,デジタル信号は1か0しかありません。0.5付近にしきい値があり,0.5以上であれば1と
判別され,0.5未満であれば0と判別されます。さきほどの例を振り返ってみましょう。1を
保存したつもりが数年後に0.9になったとしても,しきい値0.5以上なので1と判別されます。0を
送ったつもりが0.1で届いたとしても,しきい値0.5未満なので0と判別されます。このように
デジタル信号は劣化に強いという特徴があります。だからデジタル信号が使われているわけですね。
デジタル信号でどのように情報を保存している?
では,0と1しかないデジタルデータでどのようにして様々な情報を保存しているでしょうか?それは0と1
の組み合わせです。たとえばASCIIという文字コードでアルファベットのaを0と1で表現してみると
01100001となります。ASCIIだけでなく様々な文字コードが存在しています。文字コードだけでなく画像
や音楽もすべて0と1の組み合わせで再現可能です。このようにしてデジタル信号で情報を保存している
わけですね。
マイコン内部の信号は?
マイコン内部ではどちらの信号が使われているでしょうか?実は,マイコン内部は上記で述べたように
再現性に優れるデジタル信号で処理をしています。しかし,私たちの身の回りの信号はほとんどが
アナログ信号です。そのため,マイコンに入力する時は,アナログ⇒デジタル変換(A/D変換)に信号を
変換し,デジタル信号にしてから演算など複雑な処理を行っていきます。その結果をマイコンから
アナログとして出力する場合には,デジタル⇒アナログ変換(D/A変換)します。そのため,A/D変換や
D/A変換はマイコンにとって重要な機能になります。
次は
次回はデジタル信号を数える2進数と16進数を学習しましょう。