ポート・GPIO

LEDを点灯させる際の注意点②

【LEDに流せる電流を守りましょう】
LEDを点灯させる際は様々な絶対最大定格を守る必要があります。それについて説明しましょう。
まず、LEDに流せる電流はLEDのデータシートに記載されている絶対最大定格で規定されています。LEDの絶対最大定格を超えた電流を流した場合は、LEDが壊れる可能性が非常に高くなります。
それだけではなく、マイコンに流し込める電流の絶対最大定格も守らないといけません。
では、どのように電流を制限すればいいのでしょうか? 答えは、LEDに直列に抵抗(電流制限抵抗)を挿入し電流を制限することです。しかし、実はこの電流制限抵抗を求める方法はちょっと難しいです。ここでは、電流制限抵抗を求める方法を紹介したいと思います。

条件として、LEDの電源電圧が4.5V~5.5Vとします。LED自体に流せる電流の絶対最大定格が20mAとします。マイコンに流し込める電流の絶対最大定格が10mAとします。つまり流せる電流の最大値は10mAになります。
また、LEDを光らせたときの輝度を確保するために、LEDに流す電流は最低でも5mA以上必要としましょう。
つまり、LEDに流す電流を5mA以上、10mA未満に収める必要があるわけですね。しかも電源電圧が4.5V~5.5Vに変動する場合でもその条件を守る必要があります。ではどのようにして抵抗値を求めればよいのでしょうか?

まずは、最低5mA以上流す必要があるという条件がありますので、もっとも電流が流れない条件LEDの電源電圧が4.5Vで電流を調整してみましょう。
5mA流したときのLEDのVFは1.8V、NMOSのVOLは0.1Vとします。VFとはダイオードに順方向電流が流れた際に生じる順方向電圧のことです。電流制限抵抗にかかる電圧降下をXとすると、4.5V=1.8V+0.1V+Xの式が成り立ちます。これを計算すると、X=2.6Vとなり、オームの法則より抵抗値を求めると、電流制限抵抗は、2.6V/5mA=520Ωとなります。ここで、5mA以上電流を流さないといけないということを思い出してください。つまり、520Ωよりも小さい抵抗を選択しなければなりません。ここでは、470Ωを選択したとします。

次に、電流が最も流れる条件でLSIの絶対最大定格10mAを超えないか確認してみましょう。電流が最も流れる条件は、LEDの電源電圧が5.5Vの場合です。ここで、仮に10mA流れた場合、どの程度のLEDの電源電圧が必要か逆算してみましょう。LEDに10mA流れたとし、LEDのVFは1.9V、NMOSのVOLは0.2Vとします。1.9V+0.2V+10mAx470Ω=6.8Vとなり、10mA流すためにはLEDの電源電圧は6.8V必要であることがわかりました。つまり、5.5Vでは10mA以下となり、マイコンやLEDの絶対最大定格からもマージンがあることが分かりました。実際には、さらに温度特性や素子ばらつきも絡みますので評価をしてLEDの輝度や流れる電流を確認する必要があります。




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